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講師:小柳 潤

複合材料の時代 〜宇宙から日用品まで〜

文明科学の発展に伴い,人類は石の時代から鉄の時代を経て,複合材料の時代と言われている21世紀を迎えています.小柳研究室では航空宇宙分野でよく用いられる軽量で高強度な高分子複合材料を題材として,材料力学研究並びに材料開発を遂行しています.航空機や宇宙機の設計の基本となる強度・耐久性・耐熱性の実験的・解析的評価を行い,それらの特性向上を目指した機能性材料の新規開発にも取り組んでいます。

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研究例

炭素繊維強化プラスチックの力学的研究

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は,軽くて強い航空宇宙用材料であり,もっともポピュラーな複合材料である.ボーイング787では重量比で50%がCFRPでできている.一般に,航空機はCFRP積層板の「初期損傷」が発生しないように設計されている.しかし初期損傷は時間依存特性を有したり,繰り返し負荷により発生したりと,実は初期損傷の発生は十分には解明されていない.初期損傷はそもそもCFRPの中でもプラスチックの部分の,弾粘塑性特性による超微視的な損傷がきっかけでマクロな初期損傷に発展する.小柳研究室ではマルチスケールDIC(Digital Image Correlation)を行い,弾粘塑性体であるプラスチックの部分の損傷累積を実験にて可視化している.DICとは非接触全領域ひずみ分布測定法の一つのである.一方でマルチスケール数値解析を行い,実験との整合性を検討し,初期損傷の発生に関する研究を進めている.一方で3軸織物CFRP等の特定用途のCFRPに関しても力学的な研究を遂行している。

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大気突入宇宙機の熱防御に関する研究

地球を出発した宇宙機が地球に帰還するとき,もしくは目的の惑星付近に到着したとき,その持っている運動エネルギーを消費する必要がある.そうでなければその惑星の周回軌道に収まれずに通り過ぎてしまうか,ないし単に正面衝突してしまう.それ相応の運動エネルギーを備えて初めて地球の重力圏から出ることができるからである.大気がある惑星では,大気と宇宙機の摩擦により熱が発生し,すなわち運動エネルギーを熱エネルギーに変換して減速し,目的地に収まることが可能である.もちろん焼失する可能性もある.宇宙分野では極基本的な原理である.小柳研究室では火星と地球の大気に突入する際の熱防護に関する研究を行っている.大気突入宇宙機のヒートシールド設計,ヒートシールドの耐熱性評価試験,評価解析,断熱材の評価等を行っている.また火星独特の微少な砂が混ざった空気を模擬した大気突入の評価・解析を行っている.宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究として遂行しているため,卒論・修論で本テーマを担当する学生は基本的にJAXAの研修生として本研究に取り組むことになる。

大気突入宇宙機の熱防御

機能性グラフェン複合材料の開発

2000年頃からグラフェンを用いた研究が世界で急速に取り組まれるようになった.小柳研究室では,グラフェンを用いた新規複合材料の開発を行っている.伝導性の高強度複合材フィルム開発,高分子フィルムの半導体化,光触媒及び電気触媒としての利用,リチウムイオンバッテリー及び燃料電池の高効率化,超コンデンサ・太陽電池としての利用,ドラッグデリバリーなどのバイオテクノロジーへの適用,電気化学センサ・光学センサとして利用,極薄電極,並びに重金属イオン除去などに利用等様々な応用を視野に入れて機能性グラフェン複合材料の開発に取り組んでいる.最終目標は,超高強度グラフェン複合材料の創製であり,目標強度は50GPaである.この強度を満たすことができると,将来の宇宙エレベータのケーブルとしての利用が期待できる.宇宙エレベータの建設は人類の宇宙進出に劇的な加速をもたらすと確信している。

機能性グラフェン複合材料

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